一本の糸から生まれる、世界にひとつの表情。「ワークショップマナ」を訪ねて
MAKERS OF MATSUZAKI
一本の糸から生まれる、
世界にひとつの表情。
静かな部屋に響く、織り機のリズミカルな音。色とりどりの糸が少しずつ重なり、目の前で一枚の布へと変わっていきます。
織り機に向かい、一本ずつ糸を整える時間。
今回訪ねたのは、静岡県西伊豆町で活動する「ワークショップマナ」。松崎町にある社会福祉法人「十字の園」の関連団体として、メンバー一人ひとりの個性を大切にしながら、さをり織りのバッグやストール、絵皿、クッキーなどを制作しています。
ここで生まれるのは、同じものをいくつも作るための製品ではありません。さをり織りの作品は、色の選び方や糸の組み合わせ、手の動き。そのすべてに作り手の感性が宿った、世界にひとつだけの作品です。
COLORS & MATERIALS
色とりどりの糸に囲まれた制作の場
棚に並ぶ糸は、鮮やかな青や黄色、緑、ピンク、落ち着いた茶色まで実にさまざま。眺めているだけでも想像が広がります。
どの色を選び、どの糸と組み合わせるのか。決められた正解に合わせるのではなく、その日の気持ちや作り手自身の感覚を大切にすることが、作品の豊かな表情につながっているように感じました。
棚いっぱいに並ぶ、色とりどりの糸。
その時々の気持ちで糸を選びます。
WEAVING
一段ずつ、丁寧に織り上げる
織り機の前では、皆さんがそれぞれの作業に集中していました。
張られた経糸に横糸を通し、足元のペダルを踏み、筬を引き寄せる。その動きを何度も繰り返すうちに、細い糸は少しずつ丈夫な布になっていきます。手は止まることなく動きながらも、糸の張りや織り目を確かめる表情は真剣そのものです。
何本もの経糸が張られた織り機。少しずつ布が形になっていきます。
わずかな色の違いや織りの揺らぎが味わいとなり、機械では再現できない手仕事ならではの魅力を生み出します。
織り目や糸の張りを確かめながら、丁寧に作業を進めます。
色の重なりと織りの揺らぎが、世界にひとつの表情をつくります。
PREPARATION
糸を整える時間も、ものづくりの大切な一部
布を織り始める前には、たくさんの経糸を同じ長さにそろえ、順番を整える作業があります。一本ずつの糸を確かめながら準備する姿からは、作品を支える丁寧な仕事が伝わってきました。
淡い青や緑の糸が幾重にも重なった様子は、それだけでも一つの作品のよう。完成した姿だけでなく、そこへ至る時間そのものが、ワークショップマナのものづくりを形づくっています。
一本ずつの糸を確かめながら、織り始めるための準備を進めます。
PERSONAL EXPRESSION
作り手の個性が、暮らしを彩る
織り上げた布は、バッグやストールなど、暮らしの中で使える品へと仕立てられます。色の重なりも模様も一つひとつ異なるため、作品との出会いは一期一会です。
ワークショップマナでは、さをり織りだけではなく、動物や海の生き物を描いた絵皿も制作しています。素朴でのびやかな線からは、作り手の楽しさや自由な発想がそのまま伝わってくるようです。
イカやタツノオトシゴなど、海の生き物が描かれた制作途中の絵皿。
一枚ずつ異なる絵柄に、作り手の自由な感性が光ります。
FROM HAND TO HAND
手から手へ、作品がつなぐもの
今回の訪問で心に残ったのは、静かに作業へ向き合う皆さんの姿と、そこから生まれる作品の豊かな表情でした。
自由に選ばれた色、丁寧に重ねられた糸、思いのままに描かれた線。作品には、作り手が作品と向き合った時間と、その人らしさが確かに息づいています。
手に取る人の日常へ、小さな彩りを届けるワークショップマナのものづくり。写真からも、その温かな空気を感じていただけたらうれしく思います。










