永楽堂

はじまり
郷土の偉人「入江長八」への敬意から生まれた名物
私たちが看板商品である「長八さくらもち」を作り始めたのは、先代の時代のことでした。松崎町が桜葉の産地として全国的に注目され始めた時期、この地ならではの、ここでしか味わえないお菓子を作りたいという強い思いがありました。
ヒントとなったのは、松崎が生んだ江戸時代の名工、漆喰(しっくい)彫刻の神様とも呼ばれる左官職人「入江長八」です。彼の芸術的な感性に敬意を表し、その名を冠したのが始まりでした。当時、すでに他店でも桜餅は作られていましたが、私たちは後発だからこそ、独自のこだわりを追求しました。通常1枚の桜葉を、贅沢に上下2枚使い、もち粉と上新粉を絶妙な配合で蒸し上げた皮で、自慢のつぶしあんを包む。こうして、松崎の文化と自然が凝縮された、永楽堂にしかない「さくらもち」が誕生したのです。

春の香り
五感に響く「春の香り」と、手仕事のぬくもりを届ける
私たちが何より大切にしているのは、蓋を開けた瞬間に広がる「香り」です。松崎の桜葉は、塩漬けにすることでクマリンという芳醇な香りが生まれます。その豊かな香りを損なわないよう、鮮度と製法には一切の妥協を許しません。私たちの喜びは、一口食べたお客様が「ああ、春が来たね」と笑顔になってくださる瞬間にあります。
和菓子だけでなく洋菓子も手がけるのは、お子様からご年配の方まで、ご家族全員に永楽堂の味を楽しんでいただきたいからです。機械による大量生産ではなく、素材の表情を見極めながら手仕事で仕上げる。そのひと手間が、お菓子に「温度」を宿すと信じています。歴史に甘んじることなく、日々配合を微調整し、現代のお客様が「本当に美味しい」と感じる味を追求し続けることが、私たちの変わらないモチベーションです。

お菓子を通して
この町の風景と伝統を、お菓子を通じて次世代へ繋ぐ
松崎町は、山と海に囲まれ、四季折々の美しい表情を持つ素晴らしい場所です。この町で150年以上商いを続けさせていただけるのは、地元の皆様の支えがあってこそ。私たちはこのご縁を大切にし、お菓子を通じて松崎の魅力を発信する拠点でありたいと考えています。
近年ではECサイトを通じて全国の方に私たちの味をお届けできるようになりました。これを機に、松崎の「桜葉文化」や「長八の芸術」をより多くの方に知っていただけることを願っています。未来に向けて、伝統的な製法は守りつつ、新しい素材やアイデアを取り入れたお菓子作りにも挑戦し、次の100年も「松崎といえば永楽堂のさくらもち」と言っていただけるよう、一歩一歩大切に歩んでまいります。この小さな町から届ける「春の便り」を、ぜひ心ゆくまでお楽しみください。




