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記事: 栄久ぽんかんが生まれた松崎町|三余農園と丸高農園、ふたつの物語

栄久ぽんかんが生まれた松崎町|三余農園と丸高農園、ふたつの物語

栄久ぽんかんが生まれた松崎町|三余農園と丸高農園、ふたつの物語

「栄久ぽんかん(えいきゅうぽんかん)」という品種を知っていますか。 松崎町でしか生産されていない、品種登録のない幻のポンカン—— その名前の由来は、90年以上前にこの柑橘を松崎に根付かせた、ひとりの農家の名前です。

伊豆半島の南西端、静岡県賀茂郡松崎町。 温暖な気候とゆるやかな山の斜面を持つこの町は、長く柑橘の産地として歩んできました。 BLOOMでお届けする松崎の柑橘には、ふたつの農家の物語が宿っています。

三余農園丸高農園—— それぞれの歩みと、松崎でポンカンが育ち続けてきた理由をご紹介します。

松崎とポンカン——なぜここで育つのか

ポンカンは亜熱帯原産の柑橘で、温暖で霜の少ない環境を好みます。 黒潮の影響を受ける伊豆半島南部は冬でも霜がほとんど降りず、長い日照時間と適度な潮風が柑橘の栽培に適した条件を整えています。

丸高農園の畑は、富士箱根伊豆国立公園に面する海沿いの山に広がる石垣の段々畑。 「適度な水はけ、土壌の養分を良好に保つ」(丸高農園公式サイト)環境が、 良質なポンカンを生み出す基盤になっています。 この土地の性質が、農家の努力とともに松崎のポンカンを支えてきました。

栄久ぽんかんの起源——三余農園から始まった

松崎を代表するポンカン品種「栄久ぽんかん」の誕生は、1934年頃にさかのぼります。 三余農園2代目・土屋栄久氏が広めたことから、栄久氏の名前が品種名になりました。 正式な品種登録を持たない松崎オリジナルの柑橘で、市場に流通しておらず、 現在も町内のごく限られた農家しか生産していません。

栄久ぽんかんは晩生種で、収穫は1月中旬〜2月下旬。 他のポンカンより遅い分、長い時間をかけて糖度が凝縮されます。 栽培が難しく「すあがり」と呼ばれる水分量の少ない果実ができやすいため、 「知る人のみが知る隠れた名品種」(丸高農園公式サイト)として受け継がれてきました。

現在の5代目・土屋人さんの代になって改めてその価値が見直され、 2018年(平成30年)に「栄久ぽんかん」として松崎ブランドに認定・商標登録されました。 (参照:松崎町公式サイト、ゆとりすと静岡)

三余農園——100年以上の歴史を持つ柑橘農家

三余農園(さんよのうえん)

静岡県賀茂郡松崎町那賀 / 現在5代目・土屋人さん

創業
明治36年(1903年)頃
栽培品種数
40種類以上の柑橘類
収穫時期
11月〜5月(品種により異なる)
認定・認証
静岡県エコファーマー認定(減化学肥料・減農薬)
農園名の由来
幕末の漢学者・土屋三餘(松崎三聖人の一人)に由来

三余農園の歴史は、明治36年(1903年)頃、初代・土屋準次氏が農商務省(現・農林水産省等)の試験場からネーブルオレンジを譲り受けたことに始まります。 以来120年以上、5代にわたり松崎の柑橘を育て続けてきた農家です。 (参照:三余農園公式サイト、松崎町商工会サイト)

農園名「三余」は、幕末の漢学者で松崎三聖人の一人に数えられる先祖・土屋三餘に由来します。 農民のために私塾「三餘塾」を開いた三餘の精神を受け継ぎ、農園名としています。 三餘塾の資料は松崎町の有形文化財に認定されており、農園敷地内の資料館で保存されています。 (参照:三余農園公式サイト、松崎町公式サイト)

現在の5代目・土屋人さんは栄久ぽんかんに含まれる成分を研究機関と共同で調査し、 ストレス・疲労感の緩和や血圧低下の機能が報告されているアミノ酸の一種「GABA(ギャバ)」が含まれることを突き止めました。 「栄久ぽんかんPREMIUM」として消費者庁への機能性表示食品届出が受理されており、 ポンカンとしては全国初とされています。 (参照:静岡新聞2024年1月、消費者庁届出情報)

丸高農園——昭和12年から続く、石垣の段々畑で

丸高農園(まるたかのうえん)

静岡県賀茂郡松崎町道部 / 富士箱根伊豆国立公園に面する石垣段々畑

創業
1937年(昭和12年)
主な品種
栄久・今津・太田ぽんかん、甘夏みかん、ニューサマーオレンジ
栽培方針
栽培期間中農薬不使用を基本、除草剤不使用、収穫後ノーワックス・防腐剤不使用
受賞
しずおか新商品セレクション金賞(栄久ぽんかんジュース)※BLOOMサイト記載情報

丸高農園は1937年(昭和12年)より柑橘栽培を開始。 当初は温州みかんの生産から始まり、土壌・気候・立地と相性の良い品種を探すなかで、 際立って良質なものが生産できたポンカンを主軸に据えてきました。 現在は栄久・今津・太田の3種のポンカンを中心に栽培しています。 (参照:松崎町商工会サイト、丸高農園公式サイト)

栄久ぽんかんの商標については、丸高農園自身のウェブサイトで 「三余農園さんとの長きにわたる深いお付き合いによるもの」と記しています。 ふたつの農家は競合ではなく、同じ品種を守るパートナーとして松崎のポンカンを支えてきました。 (参照:丸高農園公式サイト「ぽんかん」ページ)

ふたつの農家、ひとつの品種——90年の時間軸

  • 1903年頃 三余農園初代・土屋準次氏が農商務省試験場からネーブルオレンジを導入。柑橘農家としての歴史が始まる。
  • 1934年頃 三余農園2代目・土屋栄久氏が「栄久ぽんかん」を松崎に広める。品種名は栄久氏の名前に由来。
  • 1937年 丸高農園が柑橘栽培を開始。温州みかんから始まり、品種を広げながらポンカンを主軸に据えていく。
  • 2018年 三余農園が「栄久ぽんかん」の商標を登録。同年、松崎ブランドに認定。丸高農園も三余農園との協力のもとで商標の恩恵を受ける。
  • 2024年 三余農園の「栄久ぽんかんPREMIUM」が、ポンカンとして全国初の機能性表示食品として消費者庁に受理される。

※タイムラインの各情報の出典:松崎町公式サイト、三余農園公式サイト(sanyo-aq.com)、丸高農園公式サイト(izu-marutakafarm.jp)、ゆとりすと静岡(静岡県移住・定住情報サイト)、静岡新聞(2024年1月)

BLOOMで取り寄せられる、松崎の柑橘

三余農園の栄久ぽんかん(旬:1月中旬〜2月下旬)

※このサイトでの提供商品は準備中です。

丸高農園のストレートジュース(全品1,000ml・常温保存)

松崎のポンカンを、食卓に

ひとつの品種を起点に、90年以上の時間をかけて育まれてきた松崎のポンカン文化。 三余農園と丸高農園は、それぞれ異なるかたちで「栄久ぽんかん」を次の世代へつないでいます。

生果のみずみずしさで味わうか、ストレートジュースとして取り寄せるか—— どちらの選び方にも、松崎という土地と農家の時間が詰まっています。

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